（１）誕生・・・おっぱいが飲めない
１９９５年４月下旬の深夜（０時２８分），息子耕太は，A総合病院で誕生しました。里帰り出産だったため，父となった私は生まれた瞬間には立ち会えませんでしたが，その日はたいへんな嵐の夜だったようです。「元気な男の子だよ，父親にそっくりだよ」（ニッ）と，義母より電話で連絡がありました。泣き声も非常に大きいようでした｡すぐにでも駆けつけたかったのですが，自宅からはかなり遠くで移動も大変だったので，我慢してゴールデンウィークに会いに行くことにしていました。
妊娠８ヶ月頃，一度逆子になった以外は順調で，体重は３６００ｇ以上と，元気な泣き声をあげてこの世に生まれてきた・・・はずでした。以後，泣き声の大きさは病院一と言われることにはなるのですが。
その日の夕方には，妻からも電話があり，「前日から陣痛が始まり朝５時に病院に行ってから丸１日陣痛で苦しかった，その間腰が砕けるように痛かった，出産の時の方がかえって楽だった，おっぱいをふくませたけど，とても下手で飲めなく，汗だくになってしまった」，ことなどを聞きました。また，生後１２時間にして，大きな大きなため息をついて，看護婦さんに笑われてしまった（強烈な印象だったようだ）こともあったそうです。後に，ため息をつくほど苦しかったことがわかることになります。
しかし，１日目は口をしっかり閉じたまま，とうとうおっぱいを飲まなかったのです。この時は，「なかなか大変な子になるなあ」，という印象だったようです。「こういう子もよくいるよ，すぐに飲むようになるよ」，と思っていたのは甘かった。記憶が定かでありませんが，当然胎便もなかったと思われます。今思えば，典型的なヒルシュスプルング病の症状とわかるのですが，当時は知る由もなく，「まあのんびりいこう」と，その日の日記にも書いていたようです。
翌朝７：００の授乳も失敗に終わりました｡昨日にもまして口をしっかり閉じ，口をこじ開け無理におっぱいを入れると，「おえーっ」と言って苦しんでいました。もう誕生して，３０時間以上も経過しています。どうしたのだろう。